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ここから世界へワークショップ 第3回「身近なモノから世界へ」開催報告

開発教育協会(DEAR)さんと多様な学びプロジェクトのコラボ企画、「ここから世界へ」第3回目は『身近なものから世界へ』のワークショップでした。

私たちの身近な“モノ”・・・とは!?

今回は「〇〇〇〇」でした。

「〇〇〇〇」で起きている問題を知り、私たちは何ができるのかを考えていきました。

その「〇〇〇〇」ってなんでしょう?  今回は5人の子どもたちが参加してくれました。

1.みんなを知ろう

◆「質問ゲーム」でアイスブレイク

 まずは、はじめて集まったみんなと緊張をほぐすためのショートタイム。声を出す練習の場ともなりました。

今回のお題は「くだもの」。

「20の質問」のように、出題者にイエス・ノーで答えられる質問をして、答えを探るゲームです。みんなの質問のスピードがはやい!「それはこたつの上におくものですか?」「いいえ、でも近いです。」というところで、みんな「み〇ん」と思っていたようでしたが、答えは「金柑」でした。

このゲームで、はじめて会った子たち同士が自然と仲良くなっていました。

◆グループに分かれて自己紹介(グループセッション①)

 次に3〜4人の少人数のグループに分かれて自己紹介。

 (1)呼ばれたい名前  (2)以下、どれか一つから   ①好きなおやつ    ②もしドラえもんの道具で一つ手に入るなら?    ③この夏に何がしたい

 好きなおやつについて盛り上がったグループもありました。

 そのおかしも私たちにとっては身近な“モノ”。今回のテーマである「〇〇〇〇」が使われています。

2.共通するものはなに?

◆好きなおやつに共通することは何!?

 全体セッションに戻り、みんながその日にもちよってくれたお菓子の紹介をしました。

 そして、そのお菓子の共通点を探しました。

 中にはプラスチックの袋で包装されているという気づきもありました。

 好きなおやつに共通すること、実は、それは「植物油(しょくぶつあぶら)」だったのです!!

植物油というと、下の写真の通り!結構あります。

 これら植物油の中でも、日本は「パーム油」をたくさん使っています。

◆今回の身近な“モノ”の正体は「パーム油」!

 みんなが持ち寄ったお菓子や右の写真にも全部「パーム油」が使われていました。 「えー!こんなにー!」と驚きの声。身近な“モノ”でも意外に知らないことは、子どもたちだけではなく、私たち大人でもたくさんありますよね。

さて、今回はこの「パーム油」がテーマです。

「パーム油」について写真を見ながら考えていきました。

◆パーム油について知ろう

パーム油は、油ヤシの実の果肉から採れる植物性油です。

油ヤシは下の写真です👇

長い竿の先にある鎌で油ヤシの果房を切り落とします。

                                   撮影:峠隆一

 油ヤシの1本の木からは果房が年間で10~12房が得られます。

 1房の重さは20~25㎏あり、300個以上の果実がついています。

 それがこちら👇

                                   撮影:峠隆一

 初めて見て知る油ヤシ・・・!にみんな興味津々。

 収穫した油ヤシの果房をトラクターに載せて、搾油工場に運びます👇

                                  撮影:峠隆一

 トラクターに乗せるのも重労働。

 「すごい量―!「重そうー!」という声が上がりました。

 油ヤシは、マレーシアやインドネシアでたくさん生産されていて、日本はたくさん輸入しているということがわかりました。世界地図でマレーシアの位置を確認したところ、すぐに線で囲んで教えてくれた子たちがいました👇

その油ヤシを生産・収穫・出荷するために、生物多様性に富む熱帯雨林を皆伐し、

大規模な油ヤシ農園(プランテーション)をつくっていることがわかりました。

 子どもたちは、私たちの身近なモノである「パーム油」に何か色々と隠れていることがありそうだなと感じていました。

3.写真を見ながら考えよう

◆パーム油に関わる人・動物 グループセッション②

 次に、また少人数のグループに分かれて、

 写真を見て、「だれ?どこ?何をしている?どんな気持ち?」などを想像してみました。

                                   撮影:峠隆一

上の2人の女の子の写真のグループの子たちからは、

「苗を植えている」

「パーム油の実を探している」

「さっきの油ヤシの実を拾っている」

「7,8歳ぐらい、私たちと同じ歳ぐらいの子かな」という声が上がりました。

実は、この子たちは油ヤシのプランテーションで、実を集める作業をして働いているという写真でした。

                                  撮影:渡邊和花

上のオラウータンの写真のグループの子たちからは、 

手のポーズを見て「何かお願いをしているみたい」

「なんだか悲しそう」

「保護施設にいれられている?」といった声が上がりました。

実は、このオランウータンは、プランテーションの開発によって熱帯雨林が皆伐され、住み家を失い、保護施設に入っています。

全体セッションでは、さらに追加して2枚の写真が登場。

写真をよ~く見てつぶやく子どもたち。

先ほどのパーム油について知った情報から、今回の写真と繋げて考えられていて、ファシリテーターの1人として参加していた私はすごいなと思いました。

新しいことに出会ったとき、それを表現すること、発信すること、対話することは、少し勇気がいることなのかなと思います。自由に想像してよいもので、正解があるわけではないのに、どこかそれができずに緊張したり、窮屈感を感じたりすることはありませんか?

そんな時、勇気を出してつぶやいたことに反応してもらえたり、フォローしてもらえたりすると、ほっとできる嬉しい瞬間があるように感じます。

今回も会話の中で、そしてチャット機能の中で、「ほっと+うれしい」がたくさんあったように感じます。その積み重ねが、何かまた新しいことに出会ったときに、そっと背中を押してくれるのではないかなと思いました。

4.いろんな意見を聞いて考えよう

◆国内外から4人のゲストが登場!

最後に、プランテーションに関わる人たちに、インタビューしました。

(1)日本のお菓子会社の社員  富田ゆりさん

(2)プランテーション経営者  Mr.チンさん (3)プランテーション労働者  アロキアムちゃん (4)オラウータン       オランくん

◆感想を述べ合おう グループセッション③

 4人へのインタビューをした後、子どもたちは「みんなはだれの意見に共感した?また共感できなかった?なぜ、そう思うのか?」を話し合いました。

アロキアムちゃんに共感

「アロキアムちゃんの話を聞いて、前回のワークショップに出てきたアフリカに住むアミンちゃんの話を思い出しました。日本は学校に通うことが当たり前だけれど、世界にはそうではない国もあるのだな。

「アロキアムちゃんは大変だと思う。コロナの状況の中で、アロキアムちゃんはどうしているのだろう?ちゃんと家に入る時間も必要だと思う。」

「マレーシアはマスクとかはあるのかな?

オランくんに共感

オランくん以外はみんなお金のために働くという話をしている。

「オランくんに共感。(写真を見て)あれほどの広大な土地があれば、オランくんが住めるための木を植えられる。

「全部プランテーションにしなくてもいいのではないかな。」

森も全部開発するのではなく、オランくんが住む場所など確保できるといい。

みんなに共感

みんなの立場がわかる。それぞれの意見も正しい。そして、それぞれ大変。

オランくんは自然にもともと住んでいたから、住んでいた場所がなくなるのはかわいそう プランテーション経営者のチンさんは、パーム油の生産で生計を立てている

お菓子会社の富田さんも日本人に安くておいしいものを提供している。

でも、富田さんは、お菓子に起きている裏側を知って、パーム油以外の油でもっと何かいいものを作れたらいいのに。」

前回のワークショップでの学びを繋げて考えを深めている子、

誰かの困りごとに寄り添い、何かできないかを考えている子、

それぞれの立場に立って、多角的に捉えている子、

みんなの話を聴いて、自分の考えを見つめている子、

その一人ひとりのかがやきに、聞いていた私は、「おおっ~」と胸が熱くなりました。

◆ここで!みんなに投げかけ!

ここでファシリテーターからみんなに問いが投げかけられました。

「オランくんに共感する意見が多かったけれど、

もし油ヤシのプランテーションを狭くして、熱帯雨林を残すとすると、

油ヤシの売り上げが落ちて、アロキアムちゃんがもらえるお金が少なくなるかもしれない。

それに、私たちが食べているお菓子をつくる油が少なくなって、お菓子会社の人が困るし、お菓子の値段も高くなってしまう・・・。

みんなはどうしたら、これを解決できるかな?」

「・・・・・・・・・」

沈黙が続きました。

お菓子の裏側で起きている様々な問題を知り、その解決の難しさにジレンマを感じているようでした。そして、どうしたら解決できるのか真剣に考えていることが伝わりました。

◆身近な“モノ”の裏側で起きている問題

 今回は「パーム油」を原料とした商品が、私たちの身の回りにたくさんあることに気づかされました。また、「パーム油」で起きている世界の問題と私たちの繋がりについても知ることができました。

 その問題解決の難しさに、もどかしさやジレンマを感じ、子ども達は、終わった後も何かモヤモヤした感情が残ったようです。でもそれがきっと、「何か次につながっていくもの」ではないでしょうか。

 今回味わったジレンマやモヤモヤ感も大事に、今回のことを家族や友達と話してみたり、自分から調べて考えてみたりすることで、その解決の糸口を見つけてもらえたらと思います。  また今後も身近な“モノ”から、世界で起きている問題や課題を、私たちも子ども達と一緒に考えていけたらと思います!

参加してくれたみなさん、ありがとうございました!

秋以降も、開発教育協会(DEAR)さんと多様な学びプロジェクトのコラボ企画「ここから世界へ」は行っていきます。お楽しみに!

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